最低賃金が年々上昇して、近い将来は時給1,000円になりそうです。都道府県によって区々ですが、例えば東京都は23年10月から837円になりました。これは一般自営業者のように月240時間働けば20万円程になる計算です。夫婦2人で働けば合計40万円になります。ところが、今店主夫妻が商店等を経営して年間所得500万円以上を稼ぐ割合は決して高くありません。公的年金や健康保険の恩恵も公務員や会社員と比べて低いのです。つまり、時給1,000円でも高い給与とは思いませんが(年収360万円の勤め人が年2,000時間働いた場合の時は1,800円)、自営業者は、最低賃金以下の収入で働いている人が多いのです。
日本の開業率はアメリカ等と比べて低いですが、開業して自営業者となった後も勤め人と比較して収入面の魅力が乏しいようです。特に、日本各地の商店街衰退や中小工場の厳しさ等を見聞すると、新規開業どころか後継ぎすら躊躇するかもしれません。
自営業に収入面の魅力を付ける為には、単に自助努力の奨励だけでなく政策の改善が必要です。例えば公的負担で一定期間コンサルタントを付ける、低所得又は赤字業者には負の税金を給付する(国から業者に支払う)、勤め人と同じレベルの厚生年金や健康保険を設ける、等があるでしょう。