人の運命は『天地人』に左右されるといいます。即ち、天の時(時流の運)、地の利(場所の有利性)、人の和(良好な人間関係)によって、人や組織の首尾が決まるというものです。物事は天地人のバランスがとれて始めてうまく行きますが、新規開業や商圏の設定等の際には場所選びが先決かつ重要となります。立地条件の要素はたくさんありますが、ここでは売上高(客単価と客数のレベル)を決定する交通要件について考えてみましょう。Aさんは、1日当たり約5万人が乗降する駅近くでやや高級な花屋を開業することにしました。立地調査の為、現地に何度か足を運び、駅前の主要道路の横道に飲食店が多く集積していることを発見しました。しかも、横道は駅から大型住宅団地への近道であることも分かりました。その道幅は狭いですが、朝晩の通行人が多く、客数獲得に有利な立地と判断しました。しかし、結果は失敗でした。客数は多かったものの、単価の高い花が全く売れず客単価は極端に低かったのです。6カ月後、駅前の主要道路沿いに移転したところ、客単価が高くなって、売上高が倍増しました。以上のように、立地条件は店ごとの店格・品揃え・価格帯・客層等によって基準が違うものです。店舗立地は偏った基準(通行量や家賃等)だけで選ばず、自己の店舗特性を認識して行動することが成功の条件です。