年に何回か誰でも罹るのが風邪ですが、定期的に風邪を引いているうちは、むしろ大病する人が少ないような気がします。大病に対する抵抗力があるから風邪を引くのかもしれません。しかし、漫然と繰返し風邪を引き続けることも困ることです。
商売も年に何回か、難易様々な困ったことが起こるものです。風邪と同様に、その解決の難易度や経営への影響度等は区々ですが大抵は無事元に戻り、日常は経験出来ないようなノウハウを得たり思わぬ人と知り合ったりすることもあります。
注意を要するのは、自分の商売に特別な問題は無いと油断している場合です。一見、自信のある経営をしているように見えますが、経営の赤信号に気づいていないだけかもしれません。風邪を引いた自覚が無く、深刻な状況に陥るようなものです。
整体の大家、野口晴哉氏の著書に『風邪の効用』(筑摩書房発行)があります。「私は風邪は病気というよりも、風邪自体が治療行為ではなかろうかと考えている。ただ風邪を完全に経過しないで治してしまうことばかり考えるから、ふだんの体の弱い処をそのまま残して、また風邪を引く。」商売に何か支障が出たら、その問題解決だけで終わりとせず、ぜひ会社の体質や方針等に問題が無いかを追求する必要がありそうです。