団塊世代の定年退職がピークを過ぎたようですが、この世代の人々によって創業が増えたという声を聞きません。元々、60台70代の創業が盛んという話は聞かないですから、団塊の世代も同様なのかもしれません。
そもそも高齢者(公的基準で65歳以上)に活発な創業を期待することは無理なのでしょうか。また、国や自治体としては高齢者の創業を奨励する意欲は低いのでしょうか。筆者の知人A氏は親が創業した鮮魚店を継いで68歳の時に従業員の店長に営業権を譲り、店員5人を雇う居酒屋を創業しました。鮮魚店は家業の後継者として経営してきましたが、いつか飲食業(扱いなれた魚中心の店)の経営をすることを夢見ていました。利益にはあまり拘らず、客や店員との交流を楽しみに働いています。日本の高齢化率は年々上昇しています(2005年20.2%、2030年予想31.8%)。高齢者本人の生きがいはもちろん、雇用の創出、技術や経営ノウハウの伝承等のためにも、高齢者の創業支援に力を注いで頂きたいものです。現在、日本政策金融公庫のシニア起業家資金等の金融支援はありますが、高齢者特化の経営指導や共同体活動支援のような面を強化したいものです。さらに、高齢者福祉は一方的なサービス提供だけではなく、高齢者が社会経済に貢献出来るような仕組みを作ることも大切でしょう。