一般に人には物の所有欲があり、所有する必要があるか否かにかかわらず、不動産や身の回り品を持っている場合があります。しかし、その取得資金が不足してくると無理せず所有しないで借りて使うようになります。従来から個人が借りて使う物と言えば、貸衣装・貸布団・レンタカー・ビデオ等が目立ちますが、この「レンタル業」のメニューには時代によりたくさんの盛衰がありました。例えば、60年前頃まで「貸剃刀屋」というものがあったそうです(宮本常一著『民族のふるさと』河出文庫参照)。「剃刀を民家へ貸しつけ、その剃刀が切れなくなったと思う頃、刃を立てたものを持って行って取り替えてくる」というシステムでしたが、これは安全剃刀の流行で廃れました。
購入に際して高額な資金を必要とする物(家・自動車等)、一時又は一時期しか必要としない物(ベビー用品・介護用具・冠婚葬祭用品等)、管理方法や安定所有に不安のある物(貸植木・貸ペット等)は、景気や流行にも依りますがレンタル向き商になり易いものです。事業者から見ると、物を借りて使う生活様式や消費形態の変化は、新たなビジネスの機会増大(又はレンタル市場の拡大)です。平均所得の人では高額で容易に購入出来ないような物であっても、借りて損料を払う支払能力はあるかもしれません。