経済のデフレ脱却を目指して、国家の経済戦略としてインフレ政策が採用されつつあります。当然、商品・サービスが上昇すれば、国民の収入(給料等)が上がらなければ困ります。多くの企業は経営改善の柱として、何年間も経費節減(特に人件費)に努力してきました。特に、企業再生計画や経営革新計画を策定したような中小企業は、役員報酬や従業員給与の削減による経営改善を計画することが多いので、給与引上げを求められても経費上昇にバランスした収益獲得に自信が持てないのではないでしょうか。しかし、経済の潮流が従業員の待遇改善を要請しているので、流れに乗れない企業は今後人の確保維持が難しくなるでしょう。そこで経費削減策を実施しながら、待遇改善を進める手段を少し探ってみます。(1)残業等に悪い習慣(つきあい残業・サービス残業等)があれば、残業時間の短縮や法律に従った残業賃金の支払を徹底する(2)各種手当の目的や基準を明確にして整理縮小するとともに、予算が浮けば基本給の引上げに活用する(3)長期的観点に立って人件費の優先的使途を見直し、社会保険に加入していない企業は本気で加入を検討する(4)役員報酬と従業員給与の支払割合を検証し、そのバランスを勘案して従業員への重点配分を検討する(特に家族経営企業)。