正規職員として中途で会社や役所等の組織に入ることは、昔も今も容易ではありません。
「世の中というやつは、まるで石垣だ、きっちりと、使われる石は組んであって、後から入る隙はねえものだ」(吉川英治『宮本武蔵』(二)講談社刊、大坂城下で牢人をしている武蔵とは同郷の又八の嘆き)。正規職員の再就職が難しいのは、会社や役所等ある程度整った組織が人材を受け入れる時は、定型の組織(高校大学等)から初めて出てきた人を優先して正式に採用するからです。再就職はただ仕事を見つけるだけならば年々容易になっています。以前はあまり募集の無かったような職場や業態(スーパー・コンビニ、ファーストフード店、居酒屋、警備会社等)のパートやアルバイトは年々増えています。年齢制限も緩和されています。ところで、創業の機会には種々ありますが、その一つに会社を辞めた時という場合が多いのではないでしょうか。辞職の前から計画していた人はすぐ創業するでしょう。中には、再就職の活動中にフトした思いで創業する人もいます。国の経済政策としては気軽に創業出来る環境が必要ですが、正規の再就職が難しいことを理由に無計画な創業をすることは無謀といえます。成功事例に見る創業の共通点としては、再就職以上の計画性(情報や資金力等)と行動力があることです。