日本の受験生は必死に勉強して高校や大学に入学しますが、入学後はあまり勉強しないと言われます。継続すれば更に発展する能力を中断してしまうことを惜しむ声です。同様の現象が企業経営にも見られます。経営が苦境に陥り、必死に改善策を探って努力した結果やっと立ち直ったと思ったら安心してしまい、気づいたら元の木阿弥になっていたということもあります。また古人の言に、「百尺竿頭(ひゃくしゃくかんとう)一歩を進める」とあります。必死に努力して一定の地点に立った場合はその後の努力が肝心で、築いた基盤を固めることが大事です。X社(輸入雑貨販売業)は、長年に亙って過大な借入金返済に苦しみ、2年前に公的支援による経営再生計画に取組みました。やがて経営改善計画が関係金融機関から承認されましたが、その時A社長はフト思いました。「計画に沿って運営するだけで良いのだろうか。それは当然として、この計画を踏み台にして新たな発展を探ったらどうか」と。早速、A社長を中心に経営研究会を結成、仕入商品の情報や顧客開拓等の勉強を始めました。また、メンバーが外部研修会に参加したり、研究会に外部講師を招いたりしています。成果はまだ出ていませんが、再生計画を課された義務と捉えるのではなく、経営発展のチャンスと捉える雰囲気になっています。