昔から人が職を辞するのは、全盛の時にするのが理想と言われます。日本の高級官僚が局長や次官を無事に勤めると60歳の定年を待たずに辞任するのはその実践かもしれません(本当は慣例のようですが・・)。定年延長が社会問題ですが、課題の一つは定年後(ここでは60歳を一区切り)の処遇です。一般に給料は下がるが、退職金や年金が支給されるので大抵の人は覚悟をしています。問題は一定の地位にいた人が中々受け入れ難いのが、課長・部長・支社長等という肩書きが無くなる事です。特に命令系統が明確な公務所ではストレスになる人もいます。左遷とは異なりますが、60歳で退職した人よりも孤独感を抱く場合もあるようです。他方60歳で完全に退職し、他企業に再就職したり、資格や経験等を頼りに創業したりする人がいます。中には、家業の後継者として商店や農家の主になる場合もあります。その禍福は区々ですが、最低でも次のような事柄を考えておくことが必要でしょう。
(1)早くから(定年5年以上前)、家族構成・人脈・経歴・貯蓄・健康等を考慮して、次の仕事の準備を始める。
(2)定年後の人生設計(ビジョン)を用意する(70歳まで仕事を続け80歳まで趣味・旅行やボランティアをする等)。
(3)定年後のビジョンは、日頃から家族に話して了解を受けておく。