職場の上司にとって、部下を教育することは大きな負担である。何を(教える事柄)、いつ、どのように、どの程度(掛かる時間)教えるかだけではなく、相手が関心を抱いて素直に応じるかどうかが決め手となる。また、研修会において、講師は指導法や運営法に悩んでいる。接客指導が専門のAさんは、指導のコツとして、「前列の席に座っている人」「質問しそうな人」に目を向けて話をすると言う。また、研修の途中でそのような人にこちらから質問をしながら進めると、受講者の眼が講師に集まると言う。古人の言葉等にも見られるように、「時機の雨が自然に草木をうるおすような」指導が人を教えるコツであろう。草木と雨の関係であれば、その時機・水量・降り方等(草木の種類や発育段階で異なる)が重要であるように、人を教える際にも時機・時間や内容レベル・話し方等(各人の素養や関心度で異なる)によって効果のほどが違う。要は、上司が指示を出したり、教えたり、注意したりする場合、部下が素直に聞くような教育姿勢がとれるかどうかである。また、質問や相談を受けた場合は、部下と真剣に立ち向かう回答や教育が出来るかどうかである。部下の反応を念入りに観察しながら、相手の素養や関心度に合った内容レベルで教育をすべきである。