人を導く心掛けとして、その人の長所を褒めて育てることが大事と言う意見と、先ず欠点を直す指導が大事と言う意見とがあります。実際はその間を取って、両方の教育が必要でしょうが、筆者としては「長所に光を当てて育てる」ことをより重視したいと考えます。
一般に、人は得意なことや好きなことで成功すると言います。つまり、長所を活かせば大きな成果を得られる可能性が高くなります。不得意な事柄や欠点を直すことは、愉快な仕事ではないから成果も上がらず、そもそも着手にも躊躇しがちです。
X社(広告代理業、社員30人)の人事管理方針は一般の会社と大きく異なります。例えば、人事評価表として上司が部下の特技・成功例や性格の長所を具体的に書く欄はありますが、短所や失敗例を書く欄はありません。評価が減点主義ではなく、加点主義なのです。また、日頃から職務上の成果や資格・技術の取得等を積極的に申告することを勧めています。X社の社長と役員は、管理者との対話において出来るだけ部下の失敗や欠点を話題にせず、部下の長所の活用策を求めています。人の性格には必ず長所・短所が混在し、得意な事柄も区々です。経営戦略の手法と同様、諸々の短所を直すことよりも、長所を活用することで強みを伸ばすことに集中する方がずっと得策です。