こんな言葉を聞いたことがあります。「人が嫌いな事柄(仕事)で成功してしまう程の不幸は無い」と言います。例えば、人の体に触れたり、健康上の悩みを聞いたりすることは大嫌いな方が、偶々学業優秀な為に何となく医者になったとします。周囲の期待を裏切って、今さら簡単には別の仕事が選べません。これと似たようなことは、企業経営においてもあります。例えば、高度な知識や特殊技能があって次々にアイデアを出していた社員が経営者に評価され、早々と管理職に抜擢されたとします。喜ぶ方も多いでしょうが、この中には管理職として部下を統率したり、中間管理者として調整したりすることに向かない者も多くいるでしょう。
人事異動の基本として、「適材適所」が重要と言われます。しかし、人事担当者は社員の行動結果を観察して判断しているかもしれませんが、性格・嗜好や将来の目標等を考慮することは余り無いでしょう。勿論、社員の好みに合わせた配置は簡単ではありません。また、そのようにすることが正しいわけでもありません。大事な事は、成果や経歴等だけ評価して配置したり、知識や技術レベル等だけ基準に肩書を決めたりしない事です。適材適所は配置して終わりではなく、社員の足りない部分を会社が補佐し、自信の無い時は暖かく励ます社風が求められます。