税理士・弁護士・中小企業診断士等の経営指導には多くの難問がありますが、その一つが経営者に対する諫言(かんげん=いさめる言葉)です。例えば、経営者が経営方針や経営ビジョンに反するような行動をしたような場合、その間違いを指摘したり、方向転換を促したり出来るか否かです。たとえ諫言が正しいと判断しても素直に認めないかもしれません。勿論、指導者の言葉遣いや表情は十分注意しなければなりません。経験上、長続きする経営指導は、経営者(管理者)に対して上手に諫言が出来る指導者ではないでしょうか。経営者から「我が社の役員や社員たちは反論や役に立つ提案を積極的にしない」という言葉を聞くことが数多くあります。役員や社員としては、経営者に反論や諫言をした結果、疎(うと)まれたり差別されたりする怖れを抱くからでしょう。経営者に諫言する場合は、次のような準備や心掛けを用意しておく必要があります。(1)日頃から経営者の判断ミスを話題にして、経営者の対応態度を観察する。役員や社員から反論や諫言があった場合の取り扱いについて話し合っておく。(2)経営者の性格や経営哲学を観察し、どこまで諫言を受入れる可能性があるか予想しておく。(3)ケンカと同様、緊急でなければ数日間の冷却期間を置いて、必要な場合のみ実行する。