運命には宿命と立命があるといいます。宿命とは、生まれた時から定まった運命で、何処の誰の子として生まれるか、男女の別等、本人の意思に全く関係ありません。立命とは、持って生まれた素質を活用して、本人の意思(無意識でも)に従って形成される運命です。
商売運も同様で、立地条件・法規制・景気情勢等個人の工夫だけではどうにもならない要素(宿命に近い)と各自の工夫によって盛衰が決まる要素(立命に近い)があります。ところで、商売運は他人との縁による事が多いと思われます。例えば、こんな例があります。某城下町で和菓子店を営むA氏の運命は、ある人との縁によって大きく展開しました。A氏は大卒後、父親が経営する和菓子チェーン店を手伝っていました。しかし、営業や人事管理の日常業務に飽き足らず、創作菓子の研究に打ち込むようになりました。やがて、チェーンから独立した店舗を出しましたが、店舗構造や商品が非常に個性的で、一般顧客が中々増えませんでした。そんな時、都内で複数のホテル(結婚式場やイベント施設等)を経営するB氏が観光の途上でA氏の店舗を訪問して興味を持ち、取引を開始しました。A氏は、夢を持って自分が決めた工夫を続ければ共感する誰かに縁が繋がると確信しました。同じ夢や意志を持つ人がいたり、新鮮な個性を高く評価する人がいたりするものです。