2月13日23時07分に福島県沖の深さ約55kmでマグニチュード(M)7.3(暫定値)の地震が発生した。この地震により宮城県及び福島県で最大震度6強を観測し、被害を伴った。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
小生の自坊のあたりは断層地帯であるためか、付近の市町村より被害が大きかったように感ずる。
一瞬の地震によって、寺にある仏像や仏具も、石灯籠や石塀、墓石、屋根瓦等が倒壊してしまう。地震後の惨憺たる光景には、いつも、愕然とせざるを得ない。ことに、古くからの寺院は、檀家数が少なくとも寺の構えは大きいので、東日本大震災や今回のような地震による痛手は深刻なものとなる。復旧は金銭的困難に直面せざるを得ない。しかも、地震による災害は、寺を支える檀家や地域全体が被災してしまうので頼ること自体無理になる。そういった事情で応急処置のまま、10年目にして、大きな地震に再び見舞われてしまった。幸い、寺は機能停止するところまでは追い込まれなかった。自然災害ではあったが、御本尊のご加護と深く感謝せずにはおれない。
さて、地震の後片付けをしていたおり、不思議に感ずることがあった。紛失したものと半ば諦めていた40年ほど前の或る書類が、ひょいと出てきたのである。
実は、東日本大震災前後から頻繁に出現する不思議な三角四面体の現象の意味について、暗中模索しているのだが、最近になって、たまたま、日本の古代文明にまつわる文献にであったのだが、この文献の内容は、今から40年ほど前にこの寺を訪ねてきたご老人が伝えてきた内容とそっくりであると気づいた。この老人は不思議な人で、自分は、かけはぎの仕事を生業にしているが、それは世を忍ぶ仮の姿で、元々は、古代史の研究家であると語っていた。数度尋ねてきて、小生に資料を渡しながら「これは、自分が最も大事にしている内容である。あなたに差し上げたい。やがて、あなたには、この内容が役立つときが必ず来るであろう。そのとき、これを、是非、活かして欲しい。特異なものだが、この研究を志している弟子が複数いる。いずれも国立の大学で教鞭を執っている者であるから、不審に思わないように。」と論文の切り抜き記事などを見せながら、置いていった。しかし、申し訳ないことに、小生は、一度目を通したきりであった。
その書類が、この地震で、ひょいと出てきたのである。
この老人が語っていた大半の古文献に関する中身は、しかし、日本の古代文明と日本の物理学に関するある物理学者の研究資料そのものであることが判明した。小生がこの物理学者の研究資料に行き着いたのは、東日本大震災前後から頻繁に出現する氷の三角四面体のことを探っているときであったのだが、老人はこの物理学者の説をそのまま小生に示していたようだ。
ところが、この老人から渡されたもう一つの資料は、どうも、その物理学者の理論とは全く異なるものであった。古事記を太古哲学と称し、新たな解釈を加えた内容であった。太古の資料というので『旧事紀』や『麗気記』などの文献をあたってみて比較したが解釈は異なるものであった。
今回の地震で出てきた、40年前の資料は太古日本の天地創造記のコピーであった。これを著した人物はこの老人とは別人であった。
この老人が語っていた内容の根拠がこの地震によってはじめてわかったようなものである。そこで、あらためてこれらの資料を調べて見ると、いずれも、「太古の日本人は宇宙自然界の法理を直観できる極めて高度な物理や哲理を有していた」と主張し、昭和年代の物理学的な見解を軸に新たな解釈に基づいて太古の日本文化について推論を加えている。
小生にとって、この二人の研究者の論点は、氷の三角四面体の謎を紐解く上で、極めて重要な示唆を与えるものであった。日本の古代文化を基調にしているとはいえ、いずれも壮大な宇宙論であった。神話を超えた自然科学的天地創造の宇宙論や量子論的な万生万物の発生と進化のプロセスを解明する鍵が日本の古代の古事記やそれ以前の記紀に秘められていると語る。生前、この研究者や求道者の接点はなく、観点や論点も一見すると全く異なるようだが、しかし、驚くほど今日の最先端の宇宙や素粒子に関する科学理論の仮説に近いものがあり、その意味ではこの時代にすでに先取りしているものであった。今日でこそ、明らかになりつつある天文学や理論物理学の諸説と彼らの見解があまりに呼応しており、驚愕を覚えざるを得なかった。
さて、氷の三角四面体の謎を紐解くうえで、根幹となる論理ではないかと思う物理学の最新の宇宙論の一部を紹介したい。これらの仮説は驚くほど上述の古代研究者の理論や哲理と呼応するのである。まるで、「いつの時代に在っても、われわれは天地一切と呼応した存在であることを決して忘れるな!」と訴えているようである。以下、最新の宇宙論の一端をお示ししておきたい。
●原子と素粒子である量子世界と惑星・星・銀河・超星団・宇宙といった大きなスケールのものを一つに統一する試みにより、全てが自然に秩序だって並ぶことがわかった。これで、宇宙はランダムではないこと。宇宙には何らかの“秩序”、“機構”があることが証明されている。
●意識が脳内に生まれるという見方ではなく、生物や我々の肉体や環境の構造は、我々が“意識”と呼ぶフィードバックのフィールドと相互に作用し合っており、単に宇宙の根本的機構の表れであって、その根源や要因ではない。輪廻転生や魂といわわれてきたこともふくめ、情報は空間の一部、“空”の一部で、肉体はその表れでしかないのである。
●“空”とは何か?量子力学上の“空”とは、原子の中心は空っぽではなく、中も外も、何かで満ちている=フルの状態であることを指す。そこにあるのは空っぽでなく、何かでフルだということ。
あらゆる空間がフルなので、その状態をフルとして体験できない。比較することができないので、空っぽに見えているだけである。
物質が空間を定義するのではなく、空間が物質を定義するのである。
また、“空”は、あらゆる時間・空間・情報であるといえる。まさしく“空”は宇宙のハードデスクのようなものだ。この“空”によって、全てがどこにあって、何をしているのかが瞬時にわかり、自己を体系化することができるのである。
宇宙発生にビックバン説があるが、これによっては、今の世界、環境の複雑さや成り立ちは説明できない。
実は、地球も常に創造し続けているのである。
これは、“空”が全てを繋いでいて、エネルギーが全てと繋がっていることを理解することにより、物事が自己体系化する構造を理解することができるのである。
“空”は超伝導体で、超流体でもあるので、全てがどう動いているのかが瞬時にわかり、より複雑な構造を組織し、私たちが住む、複雑に相互作用するこの世界を創り出している。
空間が全てのものを繋いでいる。
原子も99.999999%は空間である。つまり、空間はあらゆる場所に存在し、全てを繋ぐマトリックス(※母体・源泉)・流体(※回転)・構造(※三角四面体)である。
新宇宙論では、基本的には全宇宙は空間時間構造そのものの中のフィードバック構造であり、その中で、自身について学び続けるものであるとしている。
意識が自己認識であるという概念は、新物理学に合致するポイントである。
我々は今、全宇宙が自身について学んでいるのだという意識や自己認識の基本構造を理解し始めている。
情報のネットワークは“空”の中に存在する。つまり、意識・記憶・自己意識・思考などの源は“空”の機能であり、生物学は電話のようなものであり、会話ではないこと理解できるだろう。
●人類は世界を大きく変える可能性を秘めていると思う。
フィールドや“空”がどのように物質世界をつくるかの基本的原理や基本的構造や自己体系化の方法、何が全てを繋いでいるか等が理解できれば、その基本構造をしっかりした物理学や数学、そしてテクノロジーに適用する。そのような理解が起こったテクノロジーは、今想像しうるよりもずっと大きなもの、無限のエネルギー、太陽系・銀河系に行き、銀河系間を移動できる宇宙船を開発する能力をも可能にする。可能性は無限である。
歴史的に見て、今は、人間も情報の統一フィールドの一部だと認識し、その構造を学び、テクノロジーに適用するか、そんなことは出来ないかの分かれ目なのだ。
以上、古代の研究や最新の宇宙論に関する一端に触れてはみたものの、説明不足の感を免れ得ない。ただ、ひとえに、苦難の中でスタートした21世紀が実は、天地宇宙とのより高度な呼応により、限りない未来への希望の扉を切り開く時代でもあることを氷の三角四面体を通して導き出されたことを読者諸氏にお伝えしたかったのである。
合掌
萬歳楽山人 龍雲好久