「王佐の才」(王佐の材とも言う)とは、帝王を補佐する才能のことです。組織のトップを補佐出来る才能で、会社であれば役員や管理者等に求められる能力といえます。吉川英治著『三国志』(講談社発行⦆等を読むと、王佐の才を持った人物が次々に登場します。当時は命がけで王を補佐し、失敗すれば厳しい罰を受けました。現代では、トップを補佐する人はどんな生き様と役割が求められるでしょうか。例えば、X社(防災用品製造業)のA総務部長は、日頃は財務・人事・渉外等を担当していますが、名刺交換するまではX社の副社長と時々勘違いされます。社長の出張だけでなく各種会合やイベント等にも必ず同行します。A部長の態度は社長に対しても堂々としており、社長は「部長が傍にいるので、自然に意思決定が早く出来る」と言います。社長が何か尋ねた場合や感想・意見を求めた時は、的確に即答します。さて、中小企業の全てが内部に王佐の才を持つ人を持つわけではありません。企業によっては、外部の専門家(税理士や経営コンサルタント等)や親族等を頼りになる補佐としている場合があります。王佐の才の中身は、豊かな知識・技術・情報だけでなく、学問修養を十分に積んだ結果の説得力と交渉力、重要な決断に悩んでいる主人を思い遣る忠誠心、事変の際でも慌てない自制心等です。