多くの著書に引用される言葉に、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」というものがあります。(原著は松浦静山【まつらせいざん、1760年〜1841年】の『常静子剣談』。静山は平戸藩第9代藩主で、『甲子夜話』の作者)。例えば、商売やスポーツ等は波に乗って思わぬ勝利になる事があります。反対に敗北した場合は、分析すれば必ず負ける原因があります。X社(宝飾品・時計小売チェーン)は、店舗ごとに月別売上目標を立てて達成率を管理しています。店長は毎月末に目標と実績の差異分析を実施します。店長の責任は、未達成の原因追求と翌月以降の対応策作りです。原因解明は単に景気低迷や流行変化等だけでは許されず、対応策作り可能な原因追求が必要です。例えば、仕入品の価格帯や品揃えの変更、イベントの差別化による店舗訴求力の強化、魅力的な季節感演出による対応策等を行います。何が欠けていたのか分析して対応策を考えると、負ける原因が分かります。X社はこれまで目標達成率を分析しても、効果的な対応策が容易に見つかりませんでした。そこで、解決策発想の順序を逆にしました。予め実行可能なアイデアを収集しておいて、チェックリストと同様な手法で失敗の原因を発見して選択する方法です。結果、迅速に効果的対応策が見つかるようになりました。