作成日:2011/06/20
気まぐれコラム《年功序列が崩れるとき》
年功序列が崩れるとき
「異動で若い上司がやってくるそうだ」「後輩が上司ではやりきれないよ」「やむを得ない、ITのことは若手に教わっている」以上のような嘆きは、中高年者だけでなく、20代後半から30代の勤め人にまで広がりつつある。先輩や年長者を敬うという日本の風習からすると複雑な心境である。
新人が入社すると、以前は先輩が数ヶ月以上仕事の手順等を教え、個人的な悩みや結婚の世話までしたものである。ところが、現代は新人教育を短期研修で済ませ、即戦力を期待する会社が増加している。後輩や部下の結婚世話人や仲人をしたことがあるという中高年者も激減している(今や仲人のいる結婚式は10%以下ということだ)。「今度入社した新人はIT操作に強いそうだから、中高年社員の教育をお願いしようか」などと、先輩としての自尊心を捨てて、面倒を見ることよりも新人に依存してしまう会社側の体質にも問題があるようだ。
年齢や勤務年数に応じて給料や地位が上がるシステムは全く無用になったのだろうか。実力主義一辺倒が健全な社会を生むのだろうか。年齢と共に給料が上がるから、結婚をしたり子育てをしたり出来ると考えるのではなかろうか。社会制度全般のバランスを考えずに年功序列を完全に崩すことには、慎重な配慮が必要であると考える。