作成日:2011/06/20
気まぐれコラム《掛売りの見切り時》
掛売りの見切り時
商売人であれば、掛売りの回収(料金の滞納等も含めて)に悩まない人はほとんどいないでしょう。一見客の場合はその対処が比較的早く決められますが、長期の馴染み客の場合は長く悶々とするものです。
売掛金回収に関して、こんな経験はないでしょうか。「こちらの大変な状況はよく分かって恐縮ですが、我が社も苦しい状況でして・・・」と腰を折って、請求に回る姿です。親しい友人や親戚に貸し金を請求するようで、罪悪感を感じることもあります。
掛売りの回収は、問題が発生すると親しい人ほど難しくなります。昔からの教訓として珍しくないですが、例えば井原西鶴『日本永代蔵』巻五に、「万の売掛するとも、その人と次第に懇ろにならぬように常住の心入れ、商人のひみつなり」(よろずの物を掛売りしても、その人と次第に親しくならないように常に気をつけることが商売人のコツだ)とあります。馴染み客ほど、売掛金が膨張します。
もっと困るのは、掛売り請求と今後の取引継続の見切り時です。「過去の取引実績」に未練が残って、思い切って取引先を切り捨てる決定が難しいのです。
苦渋の決断ですが、当社に対する相手の支払優先順位が信頼出来なくなれば、掛売り代金の法的請求と取引継続の見切り時でしょう。掛売り残高が嵩む前に見切りたいものです。