作成日:2011/06/25
気まぐれコラム《想像力を発揮する》
想像力を発揮する
あらゆるアイデアや思いつきは想像力によると思います。想像力とは願望を明瞭にすることです。空を飛んでみたいという願望が飛行機を作ったり、遠く離れた人と話したいという願望が電話を発明させたりしました。例えば本の電子化が進んでいますが、携帯電話のようなスピードで普及するでしょうか。既に書物を読む習慣が定着している中高年世代の多くは馴染めないかもしれません。しかし、これから読書習慣が付く若い世代では抵抗無く受容れるのではないでしょうか。今日の電子書籍のような物を想像した人は古くからいて、随筆家の寺田寅彦が昭和7年の新聞誌上で次のように書いています。「将来書物がいっさい不用になる時代が来るであろうか。英国の空想小説家は何百年間眠り続けた後に目をさました男の体験を描いているうちにその時代のライブラリーの事を述べている。すなわち、書物の代わりに活動のフィルムの巻物のようなものができていて文字を読まなくても万事がことごとくわかることになっている」(岩波文庫小宮豊隆編、寺田寅彦随筆集第三巻所収)。想像力は技術開発等だけではなく、これからはどんな商売が繁盛するか、消費者は次の夏にどんなデザインの水着を期待するか、国民はどんな歌を望んでいるかなど、あらゆる分野で想像力の発揮が出来ます。