哲学者の三木清は、「学生の時代に読書の習慣を作らなかった者は恐らく生涯読書の面白さを理解しないで終わるであろう」と言っています(『読書と人生』新潮文庫)。やや極論とは思いますが、勤労者であれば平社員の時代に読書の習慣を身に付けておかないと、管理職や社長になっても読書の効用をうまく活かせないかもしれません。
さて、経営管理者はどんな時に真剣かつ深刻な読書をするのでしょうか。例えば、事業不振・重大トラブル・病気等の悩みの解決策を探ったり、仕事上の技術知識や情報を収集したりするような場合でしょう。一般に、真剣な読書は人の性格や読書習慣のレベルによって効用が大きく違います。元々読書習慣が無い人の多くは、解決の為だけに読書して解決後は全く読まない可能性があります。ある程度の読書習慣がある人は、解決後にその効用や面白さに目覚めて、本格的に読書習慣が付く人もいます。やはり、早くから読書習慣を付ける事が得策です。経営管理者は、次のような心掛けが有効でしょう。(1)定期的に本屋や図書館に行って本を身近に感じる(2)情報収集をネットだけに頼らず、関連の本を読んでみる(3)本代一定額を予算化する。気軽に購入出来るようになる(4)読書ノートを用意して、読書記録を残す。修養の励みにもなる。