「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」この代表的接客言葉を受けた時、どんな印象を持つでしょうか。個人差がありますが、店舗の業種・店格・店員の表情等によって印象が違うでしょう。八百屋・肉屋・雑貨店等で、接客言葉を一々丁寧に言われたら違和感を持つかもしれません。反対に、ブティック・宝石店等で丁寧な挨拶や説明が無ければ、「愛想の無い店」という悪い印象を持たれることになります。接客度合いのレベルは、高過ぎればお客から煩わしいと敬遠され、低過ぎれば接客態度が悪いと嫌われます。適正な接客度合いは、教育と実地を繰返さない限り知識だけでは習得出来ません。中国古典『中庸』に「知者はこれに過ぎ、愚者は及ばざるなり」(聡明な人は知恵にまかせて出過ぎたことをし、愚かな者はよくわからず実行が及ばない)とあります(金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫)。接客の度合いは、商品自体に付加すべきサービス(挨拶・笑顔等による演出、商品の説明、快適空間の提供、茶菓等による接待、景品・割引等)の分量や質によって示すことになります。店員が為すべき接客活動は店舗の業種・取扱商品・店格等にバランスすることが大切であり、接客教育も店舗の性格に合った行動が出来るマニュアルや教育方針をしっかり持たなければなりません。