大抵の人々は日々平凡な暮らしを続けているように見えます。ところが、長い間には容易ならぬ出来事が多かれ少なかれ起こるものです。そのような一大事が起こって初めて、積極的な活動に目覚めるようです。
大変な出来事を経験して奮闘している商店街の具体例を挙げて考えてみましょう。
埼玉県中核都市の駅近くに、郊外の住宅地区と駅を結ぶ国道がありました。この道沿いには150店程の商店があり、朝晩は車渋滞や通勤・通学の歩行者で混雑していて、自然に賑わっている繁盛商店街でした。商店街が道路拡張に反対を続けていた為、国道と並行した場所にバイパスが通ることになりました。やがて、バブル経済の末期にバイパスが開通しました。皆様の想像の通りと思いますが、開通後1カ月の商店街売上高は半分、通行車両と歩行者数は三分の一になりました。正に、商店経営の一大事です。その後、100店以下に減少したこの商店街は一大事に目覚め、組織の組合化、地域住民や地域事業所との連携、各店の経営改善指導(品揃えの見直し・業種転換・店舗改造・世代交代等)を積極的に推進しています。全国の商店街経営が徐々に厳しくなっておりますが、急激な立地変化等による経営不振を深刻に受留めたところは、思い切った戦略転換で生き残り策に目覚めたようです。