重大なことを決定する際、大きなポイントは速さだと言われます。どんなに慎重な審議をしても、決定が時機を失すれば結果は不首尾となりましょう。
江戸時代の殿様は家臣(特に家老や用人)の審議や答申を聞いて、その決定は「よきにはからえ」と一種の同意を指令することが多かったそうです。決定事項の承認を求めた時は当然、意見が分かれて紛糾したような場合でも、やがて殿様が「よきにはからえ」と言えば大抵話がまとまったのでありましょう。これが鶴の一声の典型かもしれません。
会社の会議等で結論が簡単に出ない場合、経営者(又は役員や管理者)のどんな一言が決め手になるのでしょうか。
例えば、「皆の意見は分かった。あと3分以内で決定しよう。それで合意出来なければ、私が決める」「皆の評価が区々で決め手になる人の応募が無かった。今回の採用は総務課長に任す」「我が社はスピードが命だ。機械A・B・C、どれも一長一短あるが、加工速度が一番速いAを購入しよう」等。大事なことは上に立つ者が何を言うかだけではなく、職場における存在感や部下からの信頼度がどれだけ高いかによります。鶴の一声になるかどうかは、発言する人の地位だけではなく、日頃の行動等が信頼されている人の発言であるかどうかにもよります。